音樂活動 44 筆
5月は、歩ークウィン菜ーが深掘りしたジャズ・ファンク、ソウルの傑作群との対話の月です。 41件のレビューを通じて、この月の聴き手の姿勢がはっきり浮かびあがります。『The Payback』で「名盤と言われながら、おそらく賛否両論あるアルバム。僕は賛だ」と書き、『Maggot Brain』では「1曲目のタイトルトラックを飛ばせば、なかなか良いアルバム」と、既存の評価に柔軟に向き合う姿勢。『Standing On the Verge of Getting It On』ではギター音への違和感を率直に認めつつ、ファンク好きならば琴線に触れるはずだと指摘し、3曲目以降の価値を再発見しています。 歩ークウィン菜ーが繰り返し評価する作品群──リロイ・ハトソンがプロデュースした『Heaven Right Here On Earth』や『The Natural Four』、ロイ・エアーズの『Lifeline』や『He's Coming』──には、メロウとファンクのバランスと、年代を超えたクオリティ維持への執着が貫かれています。「廃盤になる前に買いましょう」というアドバイスからは、音盤への情熱も感じられます。レビューの丁寧さと具体性は、単なる評価以上に、発見と再評価の喜びを大切にする聴き手の姿勢を映しています。5月の歩ークウィン菜ーにとって、音楽は判断基準の問い直しの連続だったと言えます。
音樂活動 44 筆
4月は、ソウル・ファンク・ジャズの深掘りの月です。 カーティス・メイフィールドの「Sweet Exorcist」への満点評価からも分かるように、歩ークウィン菜ーさんの今月のリッスニングは、一曲一曲の構成美と感情の揺さぶりに全力で向き合う姿勢が貫かれています。冒頭の「Ain't Got Time」から「これはベストトラックじゃないか」と興奮し、その後の曲たちに同じ高さで応答される体験。また、Minnie Ripetonの「Adventures In Paradise」ではA TribeCalled Questとの接点を見出しながら、「全ジャンルの最高峰」と断定する判断眼の鮮烈さが印象的です。 一方で、ジェームス・ブラウンやウォーといった前衛的な作品への寛容性も目立ちます。「散漫だが頭2曲が超絶かっこいいから3.5点」というスタンスや、ウォーの「やり方よく分かんねぇけど好きなもの混ぜてやったよ」という楽しさへの共感は、完成度よりも衝動と個性を信頼する聴き手の姿勢を映しています。 4月の40件のリヴューを通じて、歩ークウィン菜ーさんのリッスニングは時代・国・ジャンルを超えた音源への信頼と、それぞれの作品と向き合う時間を最優先にしているのだと感じられます。
音樂活動 76 筆
3月は、歩ークウィン菜ーの音楽史の通覧でした。 70年代ソウル・ファンク・ジャズからヒップホップ、そして現在進行形の日本の作家まで、時間軸を大きく跨いで深掘りされています。月を通じて一貫しているのは「心に刻まれる瞬間」への執着です。浮の「つきひ」やカネコアヤノの「抱擁」では、その響きが色褪せない理由を、自分の胸を貫く何かとして書かれています。同様にLEROY HUTSONの「HUTSON Ⅱ」では、スルメイカ漁の喩えで全身を揺さぶられる感覚を表現されているように、音楽との出会いが身体的で無防備です。 岡林風穂の「BLUE IS SO BRIGHT」への「2025年のエポックメイキングな傑作」という評は、その時点での確信を示しています。一方で評価は甘くなく、Baby Hueyのアルバムで「ご愛嬌」とスキップを認めたり、Ohio Playersで「4点でもいいぐらい」と逡巡したり、本当に好きなアルバムだけを信頼しています。古典と現在を同じ耳で聴く誠実さが、この月全体を通して感じられます。 歩ークウィン菜ーにとって3月は、音楽の時間軸が一直線ではない事を確認した月でした。