新世代ジャングルの旗手から凡庸なポップ・シンガーへ闇堕ち……いや、光堕ちか。心底がっかりした。
ギターのアルペジオのような電子音が鳴っている。鍵盤楽器なのかよくわからない。ニューエイジ的なスピリチュアリティもあって最高だ。
こういうのは大好物だ。80年代にあったエレクトロと、2020年代のプロダクションによるエレクトロは、まったく別ものだ。初期のヒューマン・リーグや、2000年代エレクトロクラッシュのザ・フアン・マクリーンを思い出す音。Bolis Pupulだってエレクトロみたいな音楽をやっていたし、いまこういう音楽がキている。
デンボウ! ディプロやスクリレックスの曲も、もっとハメ外しちゃってるのを期待したな〜。
2026 Mix、あまり良いと思わなかった(Dolby Atmosは多分良いけどよくわかってない)。
収録曲「The Last Film - Hymn Version」がかなりジョークに近い。平沢進がP-MODELのニュー・ウェイブ/ポストパンクからソロへ移るときに教会音楽に近づいていった理由がわかった。Kissing The Pinkのルーツはイーノ、クラフトワーク、ボウイ。ザ・クラッシュの、ジョー・ストラマーのR&Bやミック・ジョーンズのグラム・ロックのようなルーツがパンクになっていった流れとは別で、ニューウェイブというよりはポストパンクのアーティストがルーツに持つものに近い印象がある。あと、戸川純。
Rate Your Musicで「egg punk」に分類されるタイプの音楽。Egg punkは2020年代以降ちいさな盛り上がりをみせていて、スカスカな8ビートにシンプルなリフを乗せた音楽。DEVOを精神的ルーツとして、その影響下で語られることが多い。Viagra Boysにも同じことが指摘できるけど、やっぱり面白いマイクロジャンルだと思う。
Bad Boy Chiller Crewの音楽に似た、ベースラインと馬鹿げたラップ・ミュージックの取り合わせ。おもしろい。
この2年間、ダンス・ミュージックの要素を含んだポップスは、往々にして「『BRAT』以降」というタームに紐づけられてきたが、今作はいよいよ、『BRAT』の次に行った印象がある。でも、ジャケの最高さが音楽を超えてしまっていると思う。
超インダストリアルでひたすらに騒々しい、こんなん大好物。ギターなのかシンセなのかよくわからないノイズが、ずっとどこかで(いやそこらじゅうで)鳴っている。
凡庸なオルトポップで、プロダクションやソングライティングにも目覚ましいところは見当たらない。新たなサウンドを築き上げるという野心はないが、しいて言えばチルウェイブからの影響に新鮮味がある、という程度。
ソングライティングのアルバム。ただ散々聴き込んだいまは、アルバムの収録曲よりも、「Talk Show Host」や「Maquiladora」といったシングルB面曲のほうが、プロダクションやアレンジの面で新鮮に聞こえる曲が多い。
プロダクションのアルバム。音が重く、意外とロック・ギターがしっかり鳴っていて、しかも2020年代のギターの音になっている。アラバマ・シェイクスもテーム・インパラも、2015年にロックの決定的な名盤をだしたバンドだ。テーム・インパラはその後、極彩色のサイケデリア、つまり音色の多彩さとアンビエンスの豊かさに向かった。いっぽうアラバマ・シェイクスは地に足をつけたまま、ブルーズ文脈のヘヴィネスを追求しているように見える。
ボブ・ディランの2020年作品にも似た、老いてなお「良い根性した」アルバム。
制作時期もばらばら、ゲスト多数で声もばらばら。バンドという概念は霧散し、本来会わなかった人びとがすれ違いつづける「街」。
だれかに会いにいく喜びをもっているのに、じぶんは自分が老いていくことを知っている。みたいなアルバム。
Pitchfork好みのアンビエント風フォーク。
20、30年続いたバンドはどこかで「舐められ」にぶち当たるわけだけど、このアルバムみたいに、作曲やプロダクションにおける緩さのようなものが、かれら(リスナー)を失望させるのだろう。初期衝動のようなものを求めているのは、音楽批評ではなくリスナーの方だって同じ。キャリア初期から知っていたアーティストに対してなんでも「初期の2枚が良かった〜」とか言っている人はなにかしらの自省や反省をしたほうがいいと思う。
Bolis PupulやKate NVなど、80年代初頭のシンセポップの再解釈的な音楽はほかにもある。が、このジェームス・フォード新作はとにかく高橋幸宏っぽくて驚いた、サウンドもボーカルも。
声がヘンで最高。ビートに組まれた「アァッ!」「アァーーッ↑↑」というボイスサンプルの快楽性を30分以上浴びせられる天国地獄。
90年代半ば以降に失速した(というよりクオリティが下がった)いわゆるオルタナ・ロックのべたーっとした音色ではなく、ローファイに振り切ったギターの音がいい!
うーん、2024年のアルバムは好きだった記憶があるんだけど、ぱっとしないなあ。
フォークだと思ったら意外とロックで嬉しい。静けさのなかの激情、大声のなかの繊細さ。
レイト・オブ・ザ・ピアのなかのグラムロック〜サイケデリア的な要素を抜き出したソロプロジェクトがLA Priestだとして、ギースのなかのオルタナ・カントリー的な要素を抽出したのがCameron Winterソロだとすると、ウォーター・フロム・ユア・アイズからノイズを剥ぎ取ってフォーク〜SSW的な要素だけにしたのがこのThis Is Lorelei。
音よすぎ、最初に聴いた環境がイヤホンでよかった、クルマのスピーカーで聴いたら何がなんだかわからなかったはず。耳の奥のほうでなるかすかな音にビビる。自分はもともとエクスペリメンタル・ロックやポストインダストリアル的なピーキーな音像が好みなんだけど、最近はこういうオーガニックなプロダクションが好きになっているし、世の中でもそういう音が盛り上がりやすくなっているようだ。
2000年代のヒーリング系コンピの系譜、もっとも先鋭した部分。小瀬村晶、Library Tapes、ハニャ・ラニ、そしてアグネス・オベル。電子音の単音のつらなりによって和音を紡ぎだす手法は、かれら彼女たちに共通している。
ふしぎな音、ふしぎなアルバム。ラップ・ミュージックの定型の外側でサウンドの面白さを追求したアルバムで、ロック耳にも非常に聴きやすい。L'Rainと同じ匂いを感じる。
♥ 1
モール系ヴェイパーウェイブの代表的な作品ではあるのだが、聴いて意外と印象に残らない。思えばマッキントッシュ・プラス『Floral Shoppe』も最近聴きかえしたら印象に残らなかった。当たり前だけど、ヴェイパーウェイブとその派生ジャンルって時代の徒花だったんだな〜と、自分のリスニング体験として裏づけされた気分だ。
ただ打ちつけるような至高のミニマルテクノ。
コンシャス・ラップなのにビートはチャラいと思う。
グランジじゃないよロイヤルブラッドジ・アームドなどが心がけてきた現代の。グリッチノイズとしての。ファズギターの実践。 グランジじゃないよ。Royal Blood、The Armedなどがやってきた、「現代のグリッチノイズとしてのファズギター」の実践。
70年代の「ふつうのソフトロック」みたいな音楽が2025年の新譜として出ている事実。クレイロ『Sling』以降の、女性SSWオーセンティック回帰の流れがきているところがあるが、男性SSW側にもそれが流入している?
音楽性だけを取り出して言えば、最初期に戻ったというべきか? だとすれば、ローファイ、ロック、オルタナダンス、ポップ、アメリカーナ、数々の旅を経て出発点に戻ってくる、ジャンプ漫画の最終回みたいで泣けるじゃないか。
とても快調だしとても好みの音。なのに、こういう「普通にいいダウンテンポ」とか「普通にいいハウス」とかに対してコメントが出てこないのは、自分がクラブカルチャーに明るくないからなのか?
♥ 1
POP!!
1965年、『Help!』からわずか数ヶ月。やっぱりジョンの作曲の、メリハリや臭さのようなものがたまらない。
アートワーク最高。内容は「Stage 1」との差分がまだあまり見られない。だが確実に音はダークな煙のなかにずぶずぶと入っている。
「カムパネルラ」、「Flamingo」、「PLACEBO」、「Lemon」、「ひまわり」。この音楽性の幅の改めてビビる。Vaundyの音楽の折衷性にもいつも驚くけど、彼のまえには米津玄師があった。
2000年前後のアルバムかと思ったら2026年の新譜。そういう論法ってよくあるけどこれはガチ。
やっぱりニューレイブの歪な音像最高ってなる。
ミニマルな演奏だが、ボーカルや楽器のプロダクションが豊かでビビる。
あまり知らないジャンルという感じ。音はただのガレージ・パンクなのに。
『リミナル・スペース』本の読書BGMとして。電子音楽の歴史の初期段階、細かいパルスの連続体が、ひとつのアンビエンスを生んでいる。例えるなら、歪ませず少々の空間系エフェクトだけかけて、技巧のないトレモロのリフを刻みつづけるロミー(The xx)のギタープレイみたいな感じ。
2013年のEPから『Just Piano』『V I N C E N T』を経た現在まで、ビートメイカーとマルチ奏者、ラップトップと生楽器のあいだを往復するFKJという作家。聴くたびに印象もお気に入りの曲も入れ替わるアルバム。
『リミナル・スペース』本の読書BGMとして。まだ音は形を保っているのに、ループは知らない世界に迷いこむように奇妙でふしぎ。
4作目では広義のインディー・ロックへスケールアップしていったが、やはりこのミニマルなガチ・ポストパンクが至高。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、テレヴィジョン、ジョイ・ディヴィジョン、そしてソニック・ユース。グリアン・チャッテンの淡々としたスポークン・ワード、ツインギターの主張せず主張する音圧や、ユニゾンの原初的な衝動。
1stはガレージパンク、2ndはポストパンク+シューゲイズ、3rd〜5thまではネオサイケ、その後インダストリアル・ロックなEP2枚を挟んで最新作ではゴスに。ボーカリストのルックスはずっとゴス全開で、それ以外のメンバーは普通なの、「ぺこぱ」か?ってなるよね(笑)。実はアルバムごとにサウンドを変えるバンドでもある。この『Primary Colours』はギターの音の作り込み、ぶおおっと轟音やばいし、ドラムスのプロダクションもカチッと硬質でばっちり。
ニューレイヴ、ニューエキセントリックの尻尾。1stはマス・ポップ、2nd以降は広義のインディー・ロック〜オルタナティブ・ロックに開いていく。徐々にスタジアム・ロックにスケールを広げていき、5th、6thでそれは結実する。2019年、UKにまともな「ロックバンド」は、フォールズ、The 1975、ブリング・ミー・ザ・ホライズンくらいしかいなかった。4年前に出た最新作ではオルタナティブ・ダンス化していたが、そこでもボーカル/ギター、ヤニスのテクニカルなギターは健在だった。
ヒップホップをベースにした図太いブレイクビーツがたまらない。キック、スネア、ウワモノ、どれをとっても「パワー」の一語。彼はもともとジャングル・ポップのバンドをやったり、R&B〜ラップ・ミュージックのプロデュースやリミックスをやってきた。そういう下積みがこのアルバムの完成度に結実している。
村上春樹『ノルウェイの森』を読んでいる。あの小説にも似た、ふれるだけで涙がこぼれそうになるエモーション。バンドの抑制された演奏、キャロライン・ポラチェックの歌やバンドメンバーのコーラスが生み出す、至上の響き。ジャケットに映された電車の窓のような写真。この音楽はあまりに日常的で、それゆえに私たちのなかの何かを否応なく呼びさましてしまう恐ろしさをもっている。