特筆すべきはオロノのボーカル。澄んだアンニュイさを湛える彼女の脱力した声が、オートチューンのエフェクトを通して無数に枝分かれするように一人多重コーラスを奏でます。 この美しいハーモニーが本当に心地よくて聴き惚れます。モダンな教会音楽。 そして白眉は最終曲の”I don’t get by”。 とにかく聴いてほしいのはこの曲です。 Weezerの1stアルバムの名曲”Holiday”の変奏バージョンのようなオルタナティヴなギターサウンドに乗せて、ここでオロノはとても赤裸々な心情吐露を歌います。 「父のことを考えながら作った」という本作の楽曲群には、必然的にオロノ自身のパーソナリティが手付かずで込められているようにも感じます。 みんな聴こう。
みんな一体何を聴いているんだ。 1曲目 “Risk It All”という、サム・クックの “(What a)Wonderful World”を彷彿とさせる名曲を生み出した時点で、この作品は後世に語り継がれるべき。 他の曲は多少地味かもしれないが、一点豪華主義もまた名盤の一つの形。 ブルーノ・マーズの作品なんていつも数年後に評価されるんだから、今のうちに高得点を付けた方がいい。
ROSEがカッコいいのでそれだけで満足。 しかしBlue Jeansも名曲。 日本の未来はwow wow wow wow。 彼女たちにかかっている。 Shut up and all invest in HANA.
「なんだこれは」。岡本太郎が言ったようにそう絶句せずにはいられない本作こそ、「誰も聴いたことのない音楽を作る」という本来の意味でのロックンロールの最新形に他ならない。 構成はイカレている。プログレ的な展開、ナンバーガールのようなヘヴィ・メタリックなギターリフ、ハードコアなダンス・ビート、飛躍し続けるリリック。 EP2枚で別々の方向性を打ち出し、なんとなくわかったような気にさせた後でお出しされたFull Moonで、再び意味は混沌に呑み込まれている。 改めてこう思わざるを得ない。「なんだこれは」。
D’Angelo的なネオ・ソウル・サウンドをベースに、日本人がソウルを歌うとはどういうことか、日本人の魂(soul)とは何かという命題に正面から向き合ったアルバム。 ‘70sニュー・ソウル、昭和歌謡、戦前のスタンダード・ジャズや演歌、レゲエ、ラテン、フォークが織り重なる音楽性は真の意味でeclectic。 旗を燃やし、人の夢を照らす。人々のためのソウル・ミュージック。
「死神」が最高傑作。現代の「蜘蛛の糸」にして、NIRVANAの”Lithium”。 米津玄師の声は、主人公が落伍者になればなるほど冴え渡る。 タイアップ曲は全曲入れなくてもよかったのでは。
異端のプロデューサー、スティーヴ・アルビニと組んだこの作品は、本当はNIRVANA の”In Utero” を作りたかった、という”Holy Bible”のリベンジにして、正統な続編だ。 不穏にうねる重低音ベース、金属的で無機質なドラム、そして歪みまくったギターリフと苦虫を噛み潰したようなディストーション・ボイス。 正気と狂気の狭間を彷徨うリッチー・エドワードの詩、起承転結も脈絡もないという意味で真の「詩」が補完されることもないまま歌詞として使われている。 その狂気が、かつてないほどこのバンドの楽曲に攻撃的で破壊的なダイナミズムを発生させている。 その「ガレージ・ロック」などと呼ぶには荒々し過ぎるグランジ・サウンドは、まさに後期ニルヴァーナを彷彿とさせる。 消費財としてのすべてのロックに唾を吐きかけた、紛れもない最高傑作。